お香を使ってみたいけど「使い方が良く分からない」「お香のやり方ってどうやるの?」「どうやって楽しめばいいのかな」と初めての方はわからないことばかりですよね。
こちらではお香の使い方はもちろん、お香の種類や必要な道具などの基本をご紹介いたします。まずは気軽に読んでみてくださいね。
お香の知識
お香は7種類に分類できる
お香は①線香(せんこう)②香木(こうぼく)③焼香(しょうこう)④匂香(においこう)⑤練香(ねりこう)⑥抹香(まっこう)⑦塗香(ずこう)の7種類に分類できます。『お線香』と聞くと、お仏壇やお墓など仏事で使うイメージが強いですよね。
「お香を焚く」という表現の中の『お香』とは実はお線香のことを示します。趣味の用途で使われるお線香は「お香」、仏事はそのまま「線香」と分かりやすく言い分けているだけなのです。『趣味で使うお香』とは正式な分類では線香ということになります。
香りの種類が豊富な線香
お香の中で香りの種類が圧倒的に豊富なのがスティック線香(お香)です。いろいろな香りをとにかく試してみたいという方にぴったりです。趣味用に使われるお香にはスティック型・コーン型・渦巻型とあります。詳しくは『お香の形で選ぶ』をご覧ください。
煙たくない〝焚かないお香〟
お香のイメージが「煙たい」「焦げ臭い」「煙の匂いしかしない」という方は、常温で楽しめるお香を試してみてはいかがでしょう。
箪笥やかばんに忍ばせて移り香を楽しむ『匂香(匂い袋・サシェなど)』や、手の甲や首元などに直塗りして体温で香らせる『塗香』などがあります。また室内でシュッとして香りを楽しむスプレータイプのお香などもあります。
香木・練香は焚き方で変わる
焚き方によっては火を使ってもお香から煙を出さずに焚くことができます。間接的にお香を温めて香らせる『空薫(そらだき)』や銀葉を使う『聞香(もんこう)』という方法です。また電熱の力でお香の香りを出す、『電子香炉』を使う方法もあります。
この方法で楽しめるお香は『香木』『練香』『印香』などがあります。
お香の焚き方・使い方
お香を焚く時に必要な道具
趣味のお香(線香)を焚く時は『香炉』『香立て』のいずれかを使います。どちらの道具も陶器・磁器・銅製・鉄製など不燃性の素材で作られており、それぞれのメリットがあります。
香炉の使い方
香炉でお香を焚くには灰が必要です。香炉の7-8分目まで灰を入れて軽く押さえます。灰が柔らかすぎるとスティック型のお香を立てて使う時にお香が立たないことがあるからです。スティック香は折って寝かせて焚くこともできます。コーンや渦巻のお香は灰の上にそっとのせて焚きます。
香炉のメリットはお手入れが楽という点です。灰は空気を含んでおり、灰の中に刺さっている部分まで燃やしきることができるので後片付けが必要ありません。ただ、湿度が高い部屋や梅雨時などの環境では灰が水分を含み、灰の中まで燃えないこともあります。
灰の中に燃え切らないお香が残るようになったら、灰の交換が必要です。使う頻度にもよりますが、年に一回程度の交換でよいでしょう。ふた付きの香炉を使用する際はふたを開けて使用しましょう。ふたを閉じたまま使用するよりも燃えがよく、また香炉のふた裏が汚れるのを防ぎます。
香立ての使い方
香立てでお香を焚くには、灰を受けるための不燃性皿を準備します。香皿は真上・真横から見てお香がはみ出ないくらいのサイズがおすすめです。スティック用の香立ては穴にお香を差して使用します。穴の大きさは香立てによって異なるので、使うお香の太さに合っているか確認してから使います。
市販されている香立てはほとんどがスティック用です。コーンや渦巻用の香立ては商品自体に専用香立てや不燃マットがついてくることが多いので、そちらを活用しましょう。スティックについては、香立てに差さっている部分のお香は燃え残ります。お皿の上に落ちた灰はお香の火が消えたのを確認してから掃除しましょう。
香立てのメリットは安価でいろいろなデザインを香炉よりも楽しみやすいということや、灰が不要という点です。香皿は家庭にある陶器製の皿などでも代用でき、手軽に始めやすいのも魅力でしょう。
焚き方/気を付けるポイント
焚く場所の周りが片付いていること・風が直接当たらない平らな場所で焚くようにしましょう。
お香の焚き方
- ①焚きたいお香を手に取り、火をつけます。
- ②お香を手にしたまま下にすっと引きます。
- ③炎が落ち着いたらそっと置きます。
【気を付けるポイント】
- 香炉でお香を立てて焚く時は連続して使用しない。→灰の中に残り火があると次のお香が倒れる原因となる。
- 香炉で一度に複数本焚く時は一本一本離して使用する。→近すぎると火移りでお香が倒れる原因となる。
- お香が完全に燃え尽きるまでは側を離れないようにしましょう。
お香の保管方法
お香は熱と湿気が苦手です。直射日光の当たる場所や高温多湿の場所での保管は避けるようにしましょう。涼しい場所で箱にしまって保管すれば、香りが長持ちします。
どう使う?お香の活用方法
お香は1500年ほど前から人々の生活の中で親しまれてきたアイテムです。現代では香りを楽しむだけではなく、睡眠前や仕事に集中したい時、リラックスしたい時など、様々な場面で使われています。
お出迎えに
来客のタイミングに合わせてお香を焚いたり、下駄箱の上などに匂い袋を置いたり(置香)してお客様をお迎えする時に。
旅館や料亭などの玄関先でお香の香りがするのを体験することもあります。
香水代わりに
衣替えの収納ケースや洋服ダンスに匂い袋を忍ばせて。ほのかな香りが服やハンカチに移り、身に着けるとやさしい香水のように香りが漂います。
自分で調合した匂い袋を使う方も増えてきました。
タイマー代わりに
読経の際に決まったサイズのお香を使うなど、お香は香りだけでなく時間を測ることにもずっと使われてきました。
香りを楽しみながら使えるので、ヨガや禅、マインドフルネスなどでも多く使われています。
リラックスタイムに
お香の香りを純粋に楽しむのもいいですが、趣味の時間と一緒に香りを楽しむのもおすすめ。読書や音楽、インターネットをしながら…など、普段の生活に使えるタイミングは結構あります。旅行先にお気に入りの香りを持っていく方も。
空間の浄化に
部屋の掃除後にお香を焚くと、空気が一層引き締められるようでおすすめです。トイレなどの狭い空間で焚く場合は、こもりやすいので煙ひかえめのお香がよいでしょう。
お手洗いでお香を焚いている旅館や料亭も見かけます。
気分転換に
テレワーク・リモートワークが一般的になってきましたが、自宅でのお仕事は時間のメリハリがなくなりがちです。
タイマー代わりにお香を焚いたり、香りで気分転換してオンオフの切替に利用することもできます。
お香の選び方
形状で選ぶ
趣味用に使われるお香(線香)の形は主に、スティック型(棒状)、コーン型(三角型)、コイル型(渦巻型)の3種類があります。
スティック型の特徴
渦巻型やコーン型に比べて製造工程が短く、効率良く製造できるため最も種類が豊富。13~14㎝のサイズが一番よく作られています。
棒状のため燃えている間、香りは均一に広がり安定して香りを放ちます。折って焚き時間を調節しやすい形状です。
燃焼時間の目安(商品による):ミニ寸(7cm程度)‥15分前後、短寸(13cm程度)‥25~30分程度
渦巻型(コイル型)の特徴
スティック・コーンよりも燃焼時間が長く、広い空間に香りを広げたい時や長時間香りを持続させたい時に使います。旅館や料亭などの玄関先で焚かれているのは、どのタイミングで来客があってもよい香りでお迎えできるようにするためです。
仏事用途では12時間燃焼のものもあります。スティック型やコーン型よりも繊細で、手間をかけて作られる形状です。
燃焼時間の目安(商品による・仏事用途を除く):約40分~90分程度
コーン型の特徴
スティック・渦巻よりも丈夫なお香。焚くと燃える面積が大きくなっていくので、香り・煙がどんどん強くなります。
スティック型よりも短時間で強く香りを遠くへ届けることができるので、急な来客時など一気に香りを広げたい時に。また風の影響も受けにくいため、灰が散らかりません。
燃焼時間の目安(商品による):約7~15分弱程度
香り系統で選ぶ
「好みの香りを知っている」「好きな系統が決まっている」という方は和風(白檀・沈香・伽羅など香木の香り)、洋風(花の香り、フルーツの香りなど)などお気に入りの香り系統から選んでみましょう。
お香を使うのが初めてで「好みの香りが分からない」「いろいろな香りを試してみたい」という方は、当店のお香20種セットがまずはおすすめです。
香りの系統別に3種類、できるだけ幅広い香りをセレクトして作ったお香アソートセットです。この3つのセットを使うと全部で60種類の香りを試すことができます。
何を選んだらよいか分からない方は‥
伽羅&沈香の香り10種/和洋折衷の香り10種
和風の香りが好きかもという方は‥
香木沈香の香り10種/香木白檀の香り10種
洋風の香りが好みかもという方は‥
おいしい香り10種/お花の香りのお香10種
お香の種類から選ぶ(線香以外)
線香以外の『お香』を使ってみたい方はこちらを参考にしてみてください。
火を使うお香
火のいらないお香
常温で香りの立つお香原料を刻んだり粉末にし、混ぜ合わせて香りを作ったお香です。
煙をださない方法で焚くお香
お香に直接火をつけずに、間接的にじんわりと熱で温めて香りを出します。煙が苦手な方や、煙なくお香そのものの純粋な香りを楽しみたい方におすすめです。